神戸地方裁判所社支部 昭和60年(ワ)28号 判決 1986年5月28日
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告は原告に対し、金七〇〇万円及びこれに対する昭和六〇年四月一二日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 仮執行宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
主文同旨
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告は別紙物件目録記載の各不動産の所有者であったが、昭和五三年七月一二日被告の委託を受けて右各不動産の上に訴外兵庫県信用保証協会(以下訴外協会と略称する)に対し、被告が訴外協会に負担する保証委託取引による一切の債務につき、限度額を三六〇〇万円として根抵当権を設定した。
2 しかるに被告は右債務の支払を怠ったので、訴外協会は右根抵当権に基づき、神戸地方裁判所社支部に債権元本二六一五万一二二五円及び金三三〇八万五四六四円に対する完済まで年一四パーセントの割合による損害金の支払を求めて前記不動産の競売を申立て(同庁昭和五八年(ケ)第一二号)、昭和五八年三月三〇日競売開始決定があり、同年九月二一日別紙物件目録一ないし五の各不動産が売却された。
3 右売却代金は合計一二三三万円であり、すべて前記被告の債務に内入充当された。
4 結局、原告は自己の出捐により被告の右同額の債務を消滅させたものであるから、被告に対し、右同額の求償債権を有するところ、内金七〇〇万円とこれに対する本訴状送達の翌日である昭和六〇年四月一二から完済まで民事法定利率による遅延損害金の支払を求める。
5 仮に右請求が認められないとしても、原告は被告の委託を受けて、別紙物件目録記載の各不動産による物上保証をなしたものであり、その被担保債務は弁済期が到来しているから、民法四六〇条二号により原告は被告に対し、予め求償権を行うことを得るところ、右求償債権内金七〇〇万円とこれに対する前項同様の遅延損害金の支払を求める。
二 請求原因に対する答弁
1 請求原因1の中、本件根抵当権の設定が被告の委託によったものであるとの事実は否認し、その余の事実は認める。本件担保提供は原告が借入金の一部金二〇〇〇万円を被告と共同使用する目的で自己のためになしたものである。
2 同2の事実は認める。
3 同3の事実は否認する。
売却代金は合計一二四六万五〇〇〇円であって、その内金六九万五四九六円は手続費用として訴外協会に配当され、残余の一一七六万九五〇四円は先順位根抵当権者たる訴外小野市農業協同組合に配当されたものであって、その債務者は原告自身であるから被告に対して求償権の発生する余地はない。
4 同5の事実中、物上保証が被告の委託によるとの事実は否認する。
また民法四六〇条の事前求償権は保証人について定められたものであって、担保提供者については認められない。
仮に認められるとしても、求償額が定まらず、別紙物件目録六ないし二六の不動産は所在不明その他の理由で未だに競売できず今日に至っており、将来いつ求償額が定まるとも知れないので原告の予備的請求は認められない。
第三 証拠(省略)
別紙
物件目録
一 小野市中谷町字ヲカ一三三三番
宅地 八四五・五七平方メートル
二 同地上
家屋番号 二五番
木造草葺平家建居宅
床面積 一〇八・〇九平方メートル
三 同町字前山一二六一番二四
畑 四〇六平方メートル
四 同所一二六一番二五
畑 三一七平方メートル
五 同町字東谷一三二二番一
田 一九九五平方メートル
六 同町字西カチ一一三四番一
田 三〇〇平方メートル
七 同所一一三五番一
田 一六九平方メートル
八 同所一一六八番
田 三八八平方メートル
九 同所一一八一番
田 二九二平方メートル
一〇 同所一一八七番
田 六九八平方メートル
一一 同所一一八八番
田 四二四平方メートル
一二 同所一一三六番
田 四二平方メートル
一三 同町字東谷一三〇四番一
田 一八〇四平方メートル
一四 同町字ヲカ一三三一番一
田 三九五平方メートル
一五 同所一三三二番
田 一〇三平方メートル
一六 同所一三八二番
田 一五二平方メートル
一七 同所一三八三番
田 一四三平方メートル
一八 同所一三八五番
田 一八〇平方メートル
一九 同所一三八六番
田 九一平方メートル
二〇 同所一三八六番一
田 八二三平方メートル
二一 同所一三八八番
田 一四六平方メートル
二二 同所一三八九番一
田 一〇二平方メートル
二三 同所一三九〇番
田 二八四平方メートル
二四 同所一三九一番四
田 一〇二平方メートル
二五 同所一三九五番
田 二〇〇平方メートル
二六 同所一三九一番一
田 一六四平方メートル